ホラー邦画の最近の傾向

ホラー邦画の最近の傾向

ホラー映画はスリルや緊張感を楽しむものですが、近年の邦画においては従来のものとは異なるストーリー性を持ったものが登場しています。

従来のホラー映画は、エイリアンやゾンビ、悪霊といった悪役としての存在とそれに対抗する人間という対立する二つの軸が中心となっていました。このような映画では、悪役となる存在の形態的な醜態さや恐ろしさに力点がおかれ、キャラクターのデザインや演出、効果音に高いクオリティが求められていました。ストーリーはシンプルなものが多く、悪役対人間の間の戦闘シーンには過激な演出などが用いられることも少なくありませんでした。

これに対して近年の邦画では従来とは異なるものが出てきています。それら新世代のホラー邦画は、人間性溢れる映画とも言える要素をふんだんに含んでいます。

悪役(エイリアン、ゾンビなど)に対する、恐ろしさや不気味さを醸し出す演出は比較的抑えられており、戦闘シーンも衝撃的な内容は少なくなっています。しかしながら、力点が置かれている要素は「ヒューマンドラマ」です。悪役に対抗する人間同士の協力しあう様子や、危機的状況に陥った時の人間同士の絆や裏切りなど、人間の心理を描き出すストーリー構成が増えているのです。

例えば、共に長い間協力しあってきた人間チームの一員がゾンビに変化しつつあることが判明したときに、その人間をゾンビとして殺害するのか、それともこれまでの繋がりを信じて行動を共にしていくのか、究極の判断を迫られる場面などがあるのです。このような場面では、登場人物の中でも意見が割れ様々な議論がなされたり、仲間を止む無く殺害するシーンなどがあります。このような映画を見ると、ホラー映画でもありつつもヒューマンドラマを見ているような気になります。これが新世代のホラー邦画なのです。

このようなヒューマンドラマに重点をおいたものが増えているのは、これまでの悪役対人間という対立軸としての構成は一巡し、人々が新しいものを求めるようになった、という意識の変化があります。